
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは
バーンアウト(燃え尽き症候群)と聞いてイメージするのはどういう状態だろうか。
『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』で述べられているバーンアウトの症状は無気力、冷笑的になる、脱個人化や酷いものはうつ病など様々な症状の連続体であると述べているが、端的にいえば、従業員が会社を辞めるとき・辞めようと決心するときの状態と私は読み取れた。
バーンアウトは完全に防ぐことはできるのか
離職に悩む経営者、転職するか働き続けるかを悩む従業員も多いとおもうが、この本はその悩みを一瞬で解決する福音書ではない。P26というかなり早い時点でバーンアウトを完全に撲滅することはできないと記載がある。その理由は、勤勉に働くことを善とした価値観が現代社会では根付いているためだ。
バーンアウトを緩和するために
現代の価値観がバーンアウトの原因の1つであるが、当然、経営者(企業)と従業員というミクロな世界にも原因がある。具体的には
- 仕事に対する理想と現実のギャップ
- 職場での不健全な人間関係
- 他者への高度な要求や他社に対する評価不足
- 言葉と行動の不一致
など、お互いの尊厳に配慮しなかった結果がバーンアウトにつながる。
バーンアウトを緩和させるためには、自分がバーンアウトをせずにすむかと同時に 他者をバーンアウトさせずにすむか を考える必要がある。そしてその方法は
- 自分たちのアイデンティティを仕事中心ではないものに作り変える
- 良い職場をつくること
- 良い人間であること
であることに尽きる…らしい。
現実的に取り組めること
「そんなことはわかっている」「既に取り組んでいる」という声も聞こえそうになるが、留意されたいのは「労働環境が良ければバーンアウトがなくなる」ということではないということだ。
現代の労働文化に参加している限り、バーンアウトの可能性は常にある。 私たちができることは、
- 双方が適宜コミュニケーションを取り、双方の期待値のすり合わせをすること
- その上で相手に高度な期待をしないこと
- 経営者はより良い労働環境を目指すこと
ではないか。
特に1と2に関しては経営者→従業員だけではなく従業員→経営者(もしくは上司)から行う意識が、自分をバーンアウトから守り、そして経営者をバーンアウトさせないために必要なことではないだろうか。
バーンアウトを緩和させるためには、自分がバーンアウトをせずにすむかと同時に他者をバーンアウトさせずにすむかを考える必要がある。
離職した従業員に対してまたは従業員だった人は経営者や上司に対して、直近でどの程度コミュニケーションを取れていたのか、どの程度期待値をすり合わせることができていたのか、いまいちど思い返してほしい。
書籍情報
- 書籍名: 『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか バーンアウト文化を終わらせるためにできること』
- 著者: ジョナサン・マレシック
- 出版年: 2023年
- 出版社: 青土社
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