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『良い戦略、悪い戦略』のキモは実行部分


『良い戦略、悪い戦略』では悪い戦略がどういうものなのか、から解き明かし良い戦略とはどういうものか、また立案するためにどうすればよいかを論じた本だ。 戦略に関して文句なしの名著であるが、この本一冊の要約は検索すると多数でてくるのでそれはそちらに譲りたい。

今回はその中でも良い戦略の 実行 についての記載をピックアップして紹介したい。 良い戦略を立案することも難しいが、実行することも同様に難しい。

重要(そうな)な問題はいくつもみつかり、あれもこれもすべきだと目標を設定するも十分なリソースをつぎ込めず、それが失敗したのかも成功したのかもわからないという状況はどこにでもある。

リストを作成する

鉄鋼王カーネギーに現代マネジメントの始祖フレデリック・テイラーが提言したことは、 「重要なことを10項目列挙したリストを作り、リストの一番上の項目から実行すること」だという。

仕事をする上でイロハのイともいえるリスト作りにカーネギーがなぜ感銘を受けたのか。 それは最も重要なことを選び出し、それを達成するために熟考を重ねることができたからだろう。

最良の戦略を策定することは大切だが、その戦略目標がいくつも見つかったり他の経営課題にも直面していることがほとんどである。その中で最もフォーカスすべきこと、フォーカスすべき行動はなにかということはカーネギーのような伝説的な実業家でも意識することが難しいことなのだ。

鎖構造を解決する

スペースシャトルの飛行を成功するために、あらゆる改善を重ねてもOリング(スペースシャトルの部品の一部)の強度問題を解決しなければ絶対に成功しなかったという。 戦略を実行する上でOリングに相当するものはないだろうか。 戦略を維持し、人や設備、予算の問題でこれ以上進めないということがあるのであれば、それはリストの最上位に上がってくるはずだ。

近い目標

戦略が決まれば、戦略目標が決定される。

しかし、現場レベルで実行するにはその目標を分解し行動可能な近い目標を提示しなければならない。 戦略目標と行動可能な近い目標はハシゴでつながっている。行動可能な近い目標をひとつずつ登っていくことで初めて戦略目標が達成可能なのだ。

つまり現場レベルでもリストを作成し一番上から実行する必要がある。

戦略、戦略目標レベルで共有しあとは現場に任せる、あるいは実行可能な目標を提示するところまではできてもリストの作成までは及んでおらず、結果うまくドライブしなかったということは誰しも一度は経験があるのではないか。


自分には戦略がないのではないか、困難な課題に直面して優先度がわからなくなっているなどお困りの経営者または事業者はぜひご相談ください。

書籍情報

  • 書籍名: 良い戦略、悪い戦略
  • 著者: リチャード・P・ルメルト
  • 出版年: 2012年
  • 出版社: 日本経済新聞出版

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